神様がくれたもの
額にはひどい汗、ライブ当日、僕は倒れ込んでしまった。
リハーサルを終えて、アドレナリンが身体から消えた瞬間、節々を支える力も一気に抜けて。
恥ずかしながら、僕は寒さに弱い。
てんで頼りない身体はすぐに別室に隔離され、そこには毛布と布団が用意されていた。
それでもライブは行いたいから、少しでも寝なければならないのに、少し寝ては少し起き、少し寝ては少し起き、を繰り返していた。
全て悪夢。
おそらく歌詞が飛んだりギターが壊れる夢。
そんな夢のさなか、僕の大好きな女性が突然現れた。
ぼんやりした意識の中、自分の身体の汗を拭いてくれて、額と額がくっつき、離れたと思ったら冷たい湿布が代わりに貼られた。
夢ならば、抱きしめてしまおうと、少しだけ抱きしめたような気がする。
これは神様が、僕にくれたプレゼント
毛布より暖かくて、柔らかい感触
数秒だけ続いて、そこからの記憶はないのだが。
ふと目が醒めると、外は真っ暗。
ライブ30分前。
急にスイッチが入り、マスクをしながらステージに上がって、見事クリスマスソングを歌い上げて家に帰った。
とても忙しくて、とても幸せで、二度と来ない日
誰かの優しさが、誰かの思い出を作る
時間が経てば経つほど映像はセピアになるけれども、一度彫ってしまったので忘れることはないよ
当日のライブ中の写真には、額に湿布が貼ってある自分が写っている