猫とランプの軽読ブログ

猫とランプのブログ。

イルカのギター

おはようからこんばんは。

猫とランプの松本大地です。

 

あんなに熱い日々は嘘のように消えて、代わりに冬を感じるほどに寒い日が訪れました。

 

寒暖差には十分にお気をつけ下さい。

 

今日は珍しく音楽の話をします。

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気だるいイントロから、もみの木のカバーで終わる。

 

僕を、今の60〜90年代シンドロームへと誘ったフリッパーズギターの1stアルバム、

「海へ行くつもりじゃなかった three cheers for our side」

の話だ。

 

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当時4〜5歳だった僕を乗せた、お父さんの運転するノアの中で何回も何回も繰り返しかかっていたそのアルバムは、僕に多大な影響を与えた。

 

 

自分の作編曲においては、ツーファイヴやメジャーセブンスの多用(コード進行のこと。)、食って入るメロディ、アコギ、、、、と影響を受けた部分は数えきれないし、今聞いても

「俺はここにすごく影響を受けているなー、」

と感じる部分が多々ある。

 

自分の趣味においては、フリッパーズギターから小沢健二コーネリアスピチカートファイヴ、バートバカラック、ロジャーニコルズ...。と様々に枝分かれしていった、いわば原点。

 

 

なのでここは一つ、アルバム曲レビューなんかして見たいと思う。

僕の中のイメージ等を言っていくので批評ではないはず。

そして、僕は英詞の意味を調べないタイプなので歌詞の意味の全く分からぬままイメージだけで話して個人的な好感度なんかもつけちゃいます。

 

 

 

1曲目 Hello / いとこの来る日曜日

 

Flipper's Guitar - いとこの来る日曜日 (Hello) - YouTube

 

★★★

 

歌が入るまでのイントロはまるで映画のオープニングのよう。

これから始まる慌ただしくて、だけどどこかのどかな一日。

早く準備をしなきゃ!とせかせかしてるようなイメージ。

 

2曲目 boys fire the tricot / ボーイズ、トリコに火を放つ

 

Flipper's Guitar - Boys Fire the Tricot -ボーイズ、トリコに火を放つー - YouTube

 

★★

 

これまた洒落たイントロ。おそらくオザケン作曲。

サウンドがカラッとしているおかげなのか、元ネタの冬感はあまりない。

ジャキジャキしすぎてない、チープなギターのカッティングがキュートなサイコーの曲。

 

3曲目 joyride / 素敵なジョイライド

 

 

JOYRIDE - すてきなジョイライド -(M.V.) / FLIPPER'S GUITAR - YouTube

 

★★★★

 

ビートルズ的な印象を持ってる曲なのだが、ジョン的要素もポール的要素もあると感じる。

疾走感がありながらも切ないメロディは、ジョイライドを楽しみつつも、こんな瞬間は長く続かないとどこかで思いながら、強がりで笑いながら過ごすような風景を連想させます。

文句無しの名曲。

 

4曲目 coffee milk crazy

 

Flipper's Guitar Coffee Milk Crazy - YouTube

 

★★★★★

 

これまたサイコーな曲。

なんて涼しい曲なんだろう。

晴れた昼間、冷たいコーヒーミルクをストローで飲みながら、窓辺を見ているようなとても余裕がある曲。

 

だけれどもなぜか垢が抜けないのは演奏が上手すぎないから。

 

これは推測なのですが、この曲テープの再生速度を少し上げてたりするんじゃないかな?

小山田君の声がいつもよりも女の子っぽく聞こえるというか。

この曲の調性の響きも、Aの青っぽさとBbのちょっと淡い感じの両方を感じるし。

 

真相はわかりませんが。

 

5曲目 My Red Shoes Story

 

My Red Shoes Story / 僕のレッド・シューズ物語, a song by Flipper's Guitar on Spotify

 

★★★★★

 

青春感溢れるアコギのストロークから始まるこれまた名曲!

 

16〜18歳のバンドが外国の砂っぽい風景の見える学校でやってるイメージがなぜか浮かぶんですよね。

 

そして、転調で卒業感が出て、元に戻って楽しかったね!って皆で言いながら各々の家に向かうような。僕の先入観か分かりませんが、フリッパーズは青春なんです。

 

渋谷系と括られているアーティストは、実はパンクである事が共通なのかも。

 

ツービートだけがパンクじゃないと、ディストーションギターやシャウトだけがロックじゃないと教えてくれたのは紛れもなくフリッパーズ

 

6曲目 Exotic Lollipop /奇妙なロリポップ

 

Flipper's Guitar - Exotic Lollipop(and other red roses) -奇妙なロリポップ- - YouTube

 

 

イントロと歌が別曲みたいで、だけど歌は底抜けに明るいシュールでサイケな曲。

 

この曲を聴くと僕はCornelius FANTASMA収録のchapter8のアイデアはもうここであったのかも。なんて思う。

 

小品みたいな曲だが、この曲が無いと次の曲がより良く聞こえない。

 

こう言う曲の存在も、僕がこのアルバムをアルバムとして好きな要因の一つだろう。

 

Cornelius - Chapter 8 ~Seashore and Horizon~ - YouTube

 

7曲目 Happy like a Honeybee / ピクニックには早すぎる

 

Flipper's Guitar - Happy like a honeybee - YouTube

 

★★★★★

 

最初のドラムで原付をキックスタートして、ハーモニカのリフからは、してはいけない二人乗りで風を受けながら学校をふけるような、そんな爽やかな青春を感じさせます。

 

ただ爽やかなだけではなく、どこか儚いのが青春であって、その儚さ、ノスタルジーな部分をクリシェ(半音ずつ音が移動するコード進行。)が担っているんだなあ、と今聴いていて思います。僕はあまり使わないけど。

途中に入るセクションからの転調はお見事ですよね。

この転調からも、やらなきゃいけない事や大人になったらこんな事は続かないけど、今は突っ走ろう。みたいな雰囲気を感じます。やってる事は同じだけど、気持ちはちょっと違うと言うか。

 

ノスタルジックでドリーミー。最高。

 

8曲目 samba parade /サンバパラードの華麗な噂が

 

サンバ・パレードの華麗な噂が/Flipper's Guitar - YouTube

 

★★

 

自分の中では小品な一曲。こう行ったエキゾチック系の曲(なんと言うか、ドリフターズ系だけど)が挟まる事でアルバムが締まってるんですよね。

アウトロが気持ち良い。

 

そして怒涛の後半戦が幕を開けます。

 

 

9曲目 sending to your heart /恋してるだとか好きだとか

 

Flipper's Guitar - 恋してるとか好きだとか (Sending to your Heart) - YouTube

 

★★★★

 

タイトルの妙。青春であることを自ら自覚し始めましたね!オザケン、あざとい人ですよ。

 

この一生懸命で、ミスはしてないんだけどどこか拙さを感じるアコギはやっぱり青春。ユースフル。

好きなクラスのあの子はアイツのことが好きで...なんて話をサビから想像してしまいます。

個人的にはオルガンがすごく好き。

 

この曲含めた後に続く三曲の流れは、涙を流さずにはいられない。青春コンプレックスの皆さんならなおさら。

 

10曲目 Goodbye Our Pastels Badges /さようならパステルズバッジ

 

GOODBYE OUR PASTELS BADGE - さようならパステルズ・バッヂ -(M.V.) / FLIPPER'S GUITAR - YouTube

 

★★★★★★★★★★★★

 

素晴らしいの一言!皆さん、この曲だけでも絶対に聞いて。

思えばこの時からDon't take your timeへの扉は開かれていたのだなと思う。

 

(元ネタ。

Roger Nichols & The Small Circle Of Friends - Don t Take Your Time.wmv - YouTube)

 

パステルズバッジにさよならを告げた彼らは、おそらく自分達の青春の終わりに気がつき始めたんだろう。

サビのテイク!!のメロディの切なさは絶品です。走り出しながらこの街を出る。卒業なんでしょうね。

だけど、途中の転調でやっぱり物思いにふけってしまう。

そして、ケツを引っ叩かれる様に現実に帰ってくる。テイク!!

僕らはお別れだ。そしてアルバムは感動のフィナーレへ。

 

11曲目 The Chime will Ring /やがて鐘はなる

 

FLIPPER'S GUITAR Chime Will Ring - YouTube

 

★★★★★

 

散々バカなことをして、それが終わる様な帰り道。どこかで鐘がなる。

鐘がなってしまう。終わりをわざとらしく告げられる。

そんなノスタルジーへ向けた、彼らの最後の全力疾走。

そんなストーリーと勢いを感じます。

 

僕は意外とこの曲を聴いたあたりで、ブライアンウィルソンを感じる。

そうか、そう言うことだったのか。と。

(ビーチ・ボーイズのベースボーカルであり、作曲家。ペットサウンズは本人の超代表作。)

 

そしたら、次に来るのはキャロラインノーだよな。

 

12曲目 Red Flag on the Gondola /レッドフラッグ 

 

https://open.spotify.com/track/2jPCFj4bNSsZQzuPyKjDre?si=VCsbqd5HSsWYd6AsTcD29w

 

 

モミの木のカバー。この曲を聴きながら出かける準備をして、終わったらコンポの電源を落として、出かける。

青春は終わった。

 

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とまあこんな具合でいかがでしょうか?

僕をこの世界に引きずり込んだこのアルバムを出来るだけわかりやすく、出来るだけ主観を交えて話してみました。

各種ストリーミングでも聞けますので、是非聴いてみてください。

そして、それを聴いたら彼らから影響を受けだ現代の作曲家である松本大地と、それを歌う笠萌衣の音源やライブを是非見て聴いて頂ければ嬉しいです。

 

松本大地でした。